注意しよう。個人成りすることに伴うデメリット

個人成りにはさまざまなメリットがありますが、同時に無視できないデメリットもあります。法人から個人成りを検討しているのであれば、事前にデメリットについてもよく理解しておきましょう。

1つ目のデメリットは税金の増加です。法人の場合、給与を支給する際に給与所得控除が受けられます。個人事業主にこの控除はありません。
また、法人なら家族のメンバーを役員にして、彼らに給与を支払うことで所得を分散することが可能です。ところが、個人事業主の場合、あくまで「労働の対価としての給与」というポイントが厳しく問われます。そのため、家族に対して給与を支払って節税するのは難しいです。加えて、自分一人に所得が集中する結果、税率もアップするため税金の負担が増えるというデメリットがあります。

個人成りするにはさまざまな手続きが必要です。その手続きの煩雑さも大きなデメリットになるでしょう。
個人成りしても法人で使用している固定資産を引き続き使用する場合、いったん売却という形を取らなければなりません。また、従業員がいた場合、個人成りした後も雇用するのであれば、いったん法人を退職させてから個人事業主に就職させるという手続きが必要です。社会保険や雇用保険の変更が必要なので、そのための手続きも発生します。

加えて、個人成りすると、それまでの法人を休眠か清算かさせなければなりません。休眠の手続きは難しくありませんが、毎年申告が必要です。清算の場合、煩雑な手続きとなるうえに、少なくない費用もかかります。いずれにせよ面倒な事後処理となるため、これは個人成りの大きなデメリットです。